以前の講座では、オンカジは「副業にはできない」ということを中心に所得税について解説しました。
ギャンブルでもうけた臨時収入については「一時所得」という所得扱いになりますが、
年間50万円の控除額(給与所得者は90万円)を超えなければ、所得税の確定申告は必要ないことについて解説しました。
ギャンブルで得た収入の所得税に関してはリンクから詳しく解説します。
今回は、オンカジで得た副収入を会社に知られないようにする方法と住民税について解説します。
この講座を読むことで、「勤務先の会社に副収入で得た所得を知られない方法」と、
所得税と住民税の関係性について理解できます。
オンカジに限ったことではなく、競馬、競輪、競艇といった公営ギャンブル全般、パチンコ・パチスロ、懸賞等、また、実際に副業をされている方にもあてはまる内容です。
この講座は、ななギャン(2級FP技能士)による執筆・監修です。
はじめに
副業解禁の流れが徐々に進み、ダブルワークも珍しくなくなってきましたが、まだまだ中小企業ではあまり浸透していないのが実情です。
サラリーマン(給与所得者)の方は会社に知られないように副業をしているケースが多いのではないでしょうか。副業が会社にバレてしまう理由の一つは、住民税の増加です。
住民税の情報は会社に通知されるため、そこで同じ給料水準の同僚よりも住民税の金額が大きいと副業を疑われてしまうのです。
そこで今回は、住民税の課税の仕組みからバレる理由、住民税による副業バレの防止方法までご紹介していきます。住民税の他にも、副業がバレる理由も紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
副業をしている場合の住民税の課税の流れ
本業の課税については、通常、勤め先の会社で源泉徴収と年末調整を行っている方の場合、納税手続きはすべて会社が代行してくれます。
つまり、給与から直接税金が天引きされ、年末には所得税や住民税の調整が行われます。(年末調整)
これにより、個人としては、会社によって税金の計算と納付が済まされているので、自身で住民税の支払い手続きを行う必要はありません。
一方、副収入を得た場合には、副収入について住民税を別途納税しなくてはなりません。これからその課税方法について説明します。
まず、住民税が課税される仕組みを理解することが重要です。
確定申告をしているかどうかによって、住民税の課税手続きが異なります。確定申告とは、その年の1月1日から12月31日までの所得や経費などの情報を税務署に提出し、自身で所得税や住民税を計算し納付する手続きのことです。
確定申告をしている場合、副収入があった場合には、その収入も合算して総所得として計算し、住民税が課税されます。
一方、確定申告をしていない場合には、副収入に対する住民税は別途課税されます。
したがって、副収入を得た場合には、自身が確定申告をしているかどうかで課税の流れが変わってきます。
副業や副収入で所得税の確定申告をする必要がある人
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 副業による所得が年間20万円を上回っている場合*
- 「雑所得」で年間控除額20万円以上(FX取引や仮想通貨取引など)
- 「一時所得」で年間控除額50万円以上(給与所得者:90万円以上)の場
上記の場合、確定申告が必要です。
ほかにもありますが、本旨からはずれるので省略します。
確定申告をしている場合は税務署へ申告した所得の情報が、住んでいる市区町村の役所にも伝えられます。
その情報を元に市区町村が課税所得を計算し、個人個人のそれぞれの住民税を算出します。その収入も合算して住民税が課税されます。
なので、所得が大きければ納めるべき住民税もその分大きくなります。
税務署への確定申告をしていれば、市区町村への申告はしなくても全部やってくれるのです。
副業や副収入で所得税の確定申告をする必要がない人
- 副業による所得が年間20万円を下回っている場合
- 「一時所得」での 年間控除額50万円以下(90万円以下) 控除額内の場合
- 「雑所得」での年間控除額20万円以下
もともと所得税の確定申告をする必要はありません。
そのため、住民税の申告も不要と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本来、
所得が一円でも発生していれば、住民税の課税対象になります。
パチンコや競馬などで少額の払い戻しがあっても、住民税の申告をしましょう。
(このようにしか書けません)
所得税の確定申告をしていない場合、税務署から市区町村へ副収入などの情報が直接伝えられないため、納税者本人が自分で直接市区町村に副収入で得た所得を申告する必要があります。
しかし、給与所得者の中にはこのような申告手続きについて馴染みがない人も多いです。
副収入があった場合の住民税の申告や納付に関する情報は、一般的にはあまり知られていないことがあります。
いままでは緩かったようですが、住民税の申告をするようにしましょう。
会社に届く住民税の通知から副業がバレる?!
所得税の確定申告をしているにもかかわらず、「副収入」「副業」についての所得が住民税の情報から、会社にバレしてしまうことがあります。
それは、住民税の納付方法が関係していますので解説します。
住民税の支払いは給料からの天引きが原則
まず、住民税の納付方法には2種類のパターンがあります。
住民税の納付方法のパターン
特別徴収 | 普通徴収 | |
納付方法 | 給料からの天引き | 納税者本人が納付 |
情報の通知先 | 勤務先の会社 | 納税者本人 |
サラリーマン(給与所得者)として働いている方は、給料から直接天引きされる「特別徴収」によって住民税を支払っている方がほとんどでしょう。
「特別徴収」を選んでいた場合、会社は従業員から天引きした住民税をそのまま市区町村へ納税します。
そのため、確定申告をすると、確定申告した副収入(副業分)の住民税も特別徴収扱いとなってしまうので、住民税が不自然に高くなってしまい、会社に伝わってしまうのです。
そしてそれがもとで副業の疑いをかけられてしまうのです。
住民税の情報は市区町村から会社へと通知される
前述の通り、住民税を特別徴収にしている場合には住民税の情報が市区町村から会社へと伝わります。
会社に伝えられる情報の内容は、納税者(=従業員)の住民税額と月々の納税金額、場合によっては所得の状況などです。
市区町村によっては所得の情報が従業員本人しか見られないように、圧着式のハガキで通知してくれるところもありますが、全ての市区町村でそれをやってくれるとは限りません。
また、結局は会社が住民税額を知ることができるので、他の従業員と住民税額の違いを比べられるようになってしまいます。
そのため、会社へバレないように副業をするためには、ちょっとした手続きが必要になります。
住民税からの副業バレを防ぐための方法は?
住民税からの副業バレを防ぐための方法について解説します。
副業や副収入で控除額を上回った収入を得たときには確定申告手続きをしますが、そのまま申告してしまうと会社に収入情報がバレてしまうことについて説明してきました。
いよいよここからは、会社への副業バレを防ぐための一つの方法をご紹介していきましょう。
住民税からの副業バレを防ぐためには「確定申告」で普通徴収を選ぶ
確定申告で何も手続きをしない場合、副業の分も含めた住民税額の情報が会社に伝わってしまいます。
逆に言えば、問題になりそうな収入分の住民税の情報だけ自分だけに通知が来るように手続きをすればよいのです。
ポイントは、確定申告をする際の申告書で、
「給与・公的年金等に係る所得以外を自分で納付(普通徴収)」にチェックを入れることで、
(上の画像を参照)副業分の住民税を納税者自身で支払いたいという意思が税務署を通して市区町村に伝えることができます。ここがちょっとした差になるわけです。
心配な場合は直接市区町村の担当部署に確認
「普通徴収」を選ぶだけなので、これだけでは、心許ないという方もいらっしゃることでしょう。
そもそも所得税の申告なのに、住民税の支払い方を選択してもきちんと反映されるのか?と考えるかもしれません。
そんな場合は、直接市区町村の課税課や税務課に電話をして、住民税を普通徴収で納税できるかどうか確認するのがよいでしょう。住民税の確定申告の詳細なども聞いてしまった方が早いはずです。
なぜなら住民税に関する手続きへの対応方法は市区町村によってさまざまだからです。
確定申告の時期から住民税の計算が完了する2月~4月の間に市区町村に問い合わせをすると、スムーズに確認が進みやすいです。
住民税額をシミュレーションしてみたいときには
お住いの各市区町村のホームページ上に、計算式やシミュレーションが掲載されていることが多いのでそれを使うのがよいかと思います。
一応住民税の計算式としては下記のように計算しますが、お住まいの地域で数値が異なりますので注意が必要です。
■住民税の計算式
(所得割 / 課税対象額×税率)- 税額控除 + 均等割 = 住民税
そこで住民税の自動計算サイト(外部リンク)というサイトを紹介します。このサイトでは、全国1,700以上の市区町村の住民税額のシミュレーションが自動計算できますので、参考として使ってみましょう。
副収入や副業に関する情報を発信しない
副収入や副業が上手くいっている方ほど、周知させようとする傾向があります。個人を特定できるような画像をSNS上で配信したり、会社の同僚に話をしたりすると、それによって会社に情報が伝わることはよくある話ですので注意しましょう。また、勤務に影響がでることでバレることもあります。
まとめ
ここまで、住民税が原因の副業バレの理由や防止方法、副業以外に確定申告が必要になる収入などについてご紹介してきました。
副業や臨時収入が一定の金額を超えている場合には必ず確定申告をすること、その上で「主給与以外の所得を普通徴収で支払う」に「〇」を入れることを忘れないようにしてください。
それでも不安な場合は、市区町村に直接問い合わせをして住民税の支払い方法を確認するのもよいでしょう。しかし、実際会社に副業がバレるのは住民税以外の理由によることも少なくありません。
SNSへの書き込みや、同僚への“うっかり”のお喋り、勤務態度の悪化などからバレることもありますから、十分に注意しましょう。